私はIBMという会社に約20年間勤務した後、婚活関係の仕事をしていますが、「この業界、なんだか変だよねー」と感じることが多々あります。そのうちの一つが「35歳未婚男性が結婚できる確率は3%」説。結婚を焦る人、婚活に苦戦する人を煽ってビジネスに結びつける意図があるんでしょうが、これまったくの俗説です。
結論から申し上げると、30代後半の男性が結婚できる確率は、49.3%。3%未満どころか約半数の人が結婚できる算段です。この数字の出処は三菱UFJ R&Cという当代随一のシンクタンクの調査結果。だから信頼性は抜群と言えるでしょう。ただし、この数字=49.3%にはある前提条件があります。ではその前提条件とは…。ぜひ最後までお読みください。
30代後半の男性が結婚できる確率は49.3%
まずは下図をご覧ください。三菱UFJ R&Cの調査結果である、30代後半の男性が結婚できる確率です。
この調査は銀行トップの三菱UFJ銀行の関連会社、三菱UFJ R&Cが実施。OBには森本卓郎氏(経済評論家&獨協大学教授)や細野豪志氏(衆議院議員&元環境省大臣)などがいる日本有数のシンクタンク。だから、非常に信頼性の高い数字といえましょう。
結果はご覧のとおり。約半数の人が結婚できるという確率を示しています。がしかし。冒頭で述べたとおり、この数字には前提条件がつきます。それは「婚活に真剣に取り組んだ人」。具体的には、結婚情報サービスや婚活サイトなど婚活を継続的な形で実践した人です。
繰り返しますが、30代前半の男性が婚活に真剣に取り組むと、結婚できる確率は49.3%です。内訳は、利用した婚活サービスで相手を見つける人が27.7%。それ以外で相手を見つけた人が21.6%。後者は友人からの紹介とか、カルチャーセンター(例:料理教室)で相手を見つけたなど。結婚情報サービスを利用しつつ「婚活してるだけど、誰がいい人いない?」と友人知人にお願いして、といった具合なんでしょう。これも真剣に婚活しているが故の前向きな行動といえましょう。
ちなみに、一つより二つ。二つより三つと複数の手段を用いると交際相手が見つかる確率があがるという調査結果があります。こちらは東京大学の研究成果…。ご興味ある方は一読をおすすめします。
「35歳を超えると結婚できる可能性3%」説の誤り
さて、ではなぜ3%説とは何なんでしょうか(例えばこの記事)。
出処は国勢調査を加工したもの。とある婚活アドバイザーが2005年の未婚率と2010年の未婚率をそのまま引き算して、「わー大変だ!3%しかない」と早とちり。それを引用につぐ引用でいろいろなサイトが紹介して今に至るというわけです。
3%説の誤りとしては、まず変化率同士の引き算という初歩的なミスがあげられます。統計に強い人ならピンとくるしょーもない間違いです。次にあげるのは分母に「結婚したくない」人も含まれているという点(だから「結婚できる確率」ではないのです!)。
30代後半で結婚をしたい人の割合は43.2%(「明治安田福祉研究所」の調べ)。かつ結婚に向けて具体的な行動をしている人は独身者のおおよそ17%程度(「同左」調べ)。だから分母が小さくなる分、確率は上ぶれするんですね。
もう一つ指摘したいのは、そもそも国勢調査のデーターを使うのは適切ではないということ。国勢調査はサンプル調査であり、追跡調査っではありません。だから「5年後どうなった」という経年比較には向いていないのです。例えば、2005年に43歳の未婚男性は159,534人いましたが、5年後の調査で48歳の未婚男性は160,715人、つまり1,181人増加しているのです。これはありえません。なぜなら未婚者とは生涯一度も結婚したことがない人を指すからです。
「国勢調査のデーター」ということで信頼性が高いと思って、おっちょこちょい達が広めた3%説ですが、実態は「国勢調査のデーター」を用いること自体が誤りだったという、なんともお粗末な話なんです。
30代後半は最後の適齢期か?
男性が40代に突入すると婚活では途端に反応が悪くなります。子供が一人前になる前に定年とか、親の介護問題が持ち上がるとか、40まで独身って変な人などなど疑念を抱き、大半の女性が希望対象から外すからです。だから「40歳までに…」という意識でことに臨むことは重要です。
40歳を超えると老化が進みます。薄毛・メタボ・白髪・肌のシワや、胃腸が弱くなることによる口臭の発生や加齢臭など、文字通り「おっさん化」が進行し男性としての魅力は低下。そうした肉体的な意味からも30代後半は「最後のチャンス」という心構えが必要だと思います。
日本人男性の平均寿命は80.79歳。30代後半ならまだ折り返し地点まできていません。経済的な視点から子供も2人くらいは作れるでしょう。男性的な活力も漲っているはず。正しい戦略を立て継続的な努力を重ねれば、新な人生への扉が道は開くに違いありません。