結婚相談所を選ぶとき、最も頭を悩ませるものの一つが「料金」です。そして利用した人のクレームで最も多いも「料金」です。どちらも「高い」という理由から。例えば、三菱東京UFJ R&Cの調査によると、利用者の約8割が「サービスに対して割高である」と回答しています。
また、結婚相談所のトラブルをめぐる内容で多いのも、やはり「料金」。例えば、国民生活センターに寄せられた相談の上位5位のうち2つは料金にかかわること(=成婚料と中途解約の返金)。だから、料金やその体系についてはしっかり押さえておくべきでしょう。
が、しかし…。料金体系には業界特有の不透明さがあったり、業者の説明がうさんくさくて信頼できないなど、検討が難しいというのが実情です。そこで、この記事では、結婚相談所のパンフレットやホームページ、相談会ではわからない、料金の仕組みと評価・比較のポイント、トラブル事例などを解説します。結婚相談所選びと見直しにきっと役立つはず。ぜひ最後までお読みください。
結婚相談所の料金、仕組みと3つの注意点
その1.料金体系はここに注意
結婚相談所の料金体系は、明快な部分と不透明な部分に大別されます。明快なのは、入会金や登録料などの一括料金。そして月額の利用料金。お見合いする度にかかる料金(=「お見合い料」、最近は課金しない業者が主流)の3つです。
不透明なのは、後で触れますがオプション料金の一部。そしてその中間に、いわば”グレーゾン”と呼べる、成婚料があります。
《結婚相談所の料金体系》
- 明快な料金 :入会金、登録料、月額料金、お見合い料
- 不透明な料金 :その他オプション
- グレーゾン :成婚料
成婚料については、その名のとおり紹介された相手と結婚(=入籍)したら支払うものと思いますが、さにあらず。例えば、交際して2ヶ月間経ったら自動的に成婚とみなして支払い義務が発生するなど、嘘のような本当の話があります。高額の費目だし(平均20万円)、業者毎に定義が違うので要注意です。一例を示しましょう(出展:国民生活センターへの苦情)。
交際中に業者から成婚料120万円を請求された。まだ結婚していないのに何故かと尋ねると、交際2ヶ月間で自動的に交際とみなすという。入会時にそのような説明はなかった。相手を家族に紹介したかったし、業者が成婚料を半額に値引きするというので支払った。しかしその後、相手と連絡がとれなくなった。(40代男性)
お金でモメるのは、この成婚料と中途解約の返金です。理解できるまでしっかり説明をしてもらい、かつ書面で確認することが肝心です。
そして、オプション料金です。やはり同じように注意が必要。オプションとは具体的には次のもの…
《オプション料金》
- イベント参加料(会員同士のお見合いパーティなど)
- その他
注意が必要なのが、「その他」に区分されるオプションです。三菱東京UFJ R&Cの調査によると、結婚相談所の約10%が主力商品となるその他オプションを設定しているとのこと。なので、オプションはすべて料金表に記載されているか否か、それがどういう内容なのか、同じく書面で確認することが必要です。
さもないと、最悪のケース次のような事態に発展してしまいます。国民生活センターに寄せられた苦情(=最も信頼できる口コミ)を紹介しますと…
以前、電話で問い合わせたことのある結婚相談所から、執拗な電話勧誘を受け事務所に出向いた。「年収1千万円のエリートと絶対結婚できる」と言われたこともあり、契約した。入会金を振り込んだ後、エリートは会員の一部だけであり、情報料やお見合いを申し込む場合には別途料金が必要であるなど、事前の説明とは違うことがわかった。騙されたと思い解約を申し出たら、解約料金を請求された。(30代女性)
その2.総額で考える(比較する)
料金体系を押さえたら、次にやるべきは総額の計算です。月額料金が想定外にかかるんですよね。月額料金の単価だけをみると5千円から1万5千円くらい。「これなら、払えるな」というレベルかもしれません。
しかし、トータルでみるとバカにならない金額になります。なぜなら、結婚相談所の在籍期間は意外に長く、平均約24ヶ月だからです(経済通産省、調べ)。先の単価に24ヶ月をかけてみましょう。すると(月額料金だけでも)12万円から36万円になるのです。
下の図は大手結婚相談所の料金比較(総額ベース)です。利用期間を2年と仮定し、入会金や成婚料も含めてトータル費用を試算しました。
すごい高額の出費ですよね。だから、面倒だと思っても、紙と鉛筆と電卓を用意して、検討している結婚相談所の総額(想定)を計算してみてください。利用中の人もこの先どのくらいかかるのか明確にするのも一計です。
その3.コスパに注意
そして、もう一つ。料金についてチェックするべきは、対価であるサービスの内容と料金の関係性(=いわゆる「コスパ」)です。ここをお座なりにすると、のちのち不満の元になる可能性があります。実際、三菱東京UFJ R&Cの調査によると、利用者の約8割がサービスに対して割高と回答しています。
割高と回答している背景としては、条件にあわない人ばかり紹介されるとか、お見合いを申し込んでも断られ続けるとか。結局、相手がみつからずに退会したことなどが考えられます。
そして、もう一つ。非常に重要な点ですが、結婚相談所のアドバイザーに対する不満です。
結婚相談所の対価の85%はアドバイザー料
結婚相談所の最大のバリューは、アドバイザー
結婚相談所とは、「結婚相手を紹介してくれる」ところです。と同時に(文字どおり)困った時に相談にのってもらったり、役立つアドバイスを得られるところ、という期待があります。
異性関係に不慣れな人が頼る場所という側面があるし、「結婚相手の紹介」だけなら婚活サイトで十分だからです。なので、結婚相談所のアドバイザーは最大の特徴であり、バリューと言えるでしょう。
婚活サイトはIT専業会社が運営しているため、システムの機能やネットでの集客が得意。だから「結婚相手の紹介」に絞って比較すると。結婚相談所より格段に優れているのが実情です。
だからこそ、結婚相談所のコスパを評価するときにはアドバイザーが重要なポイントとなるです。
結婚相談所のアドバイザーと弁護士の相談料金は、ほぼ同じという実態
ここで、結婚相談所と婚活サイトの料金を比較してみましょう。
先に述べたとおり、紹介サービス自体は婚活サイトでも提供しているので、この費用の差(=約40万円)がまさに結婚相談所のアドバイザーの価値と見なせるでしょう。料金の実に85%にもなるんですよね。
しかし、これだけでは経済的な評価を下せません。そこで、同じような職業、つまり専門知識を活用して相談にのる仕事と比較してみましょう。すると本当に高いのか否かが感覚的にわかるはず。
例えば「弁護士」です。結婚相談所のアドバイザーも弁護士も、相談者の人生の行く末を大きく左右する点でも似ているので比較には絶好の対象でしょう。
弁護士の平均単価(相談料)は1時間17,500万円(出典:日本弁護士連合会、調べ)。それに対して、大手結婚相談所オーネットのアドバイザーの時間単価は、約16,600円と推量されます。
ほとんど同じなんですよね…。
アドバイザーが何をするのかチェックすべし
繰り返しになりますが、結婚相談所の最大の特徴であり最大のバリューはアドバイザー(仲人・コンシェルジュ)に他なりません。その価値は弁護士と同等を心得よ、と申し上げたい。このアドバイザーの良し悪しがコスパを評価する上での最大のチェックポイントです。
私は婚活のコンサルティングを生業にしているし、専門書も出版しているし、メデイアでコメントしているし、この分野では一応「識者」とみなされています。また、結婚相談所から仕事を受託したこともあり内情に通じています。そんな私がチェックするポイントは…
いいアドバイザーとは?
いい結婚相談所のアドバイザー、というか業者さんは、必ず具体的なプログラムとメソッドを持っています。成功法則を再現性のある形でノウハウ化した上で、アドバイス業務を行っているというわけです。例えば…
《具体的なプログラムとメソッドの例》
- 定期的な打ち合わせ(例:毎月1回実施)
- 進捗管理
- 交際のサポート
- 決定支援
もう一点重要なのは、コミュニケーションと接遇能力です。会員さんの気持ちを大切にしながら、時には「良薬口に苦し」なアドバイスを伝え納得させることができるか否かがアドバイザーの良し悪しに関わります。
当たり前の話なんですけどね。正直、この業界は当たり前ができない部分があるんです。
ダメなアドバイザーは?
ダメな結婚相談所はこの真逆。「親身になって相談にのります」というだけで、具体的なプログラムやメソッドはなし。「入るまでは熱心で、入ったら放ったらかし」というのが実態。また、ビジネスマナーがないので、「あんた、まだ気がつかないわけ!高望みしすぎてんだって!」と感情的に相談者を貶めたりして…
いわゆるカリスマ仲人といわれる人たちの中にも、このダメなタイプがいるから、話がややっこしいんです。
まとめ
結婚相談所の料金は高額です。そして不明瞭な料金も存在し、トラブルに発展するケースさえあります。イメージや強く入会を勧められたから、など安易に決めると後で大いに後悔することになりかねません。
料金と料金体系は慎重に比較検討して、書面で確認するなど抜かりなくおこなうことをお勧めします。結婚相談所選びが、その後の人生の方向性を大きく左右するわけですから…
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