結婚相談所でトラブルにあう人が後を絶ちません。国民生活センターの統計によると、同じ結婚産業である結婚式場に比べてトラブルが多く、毎年2500件前後の苦情が寄せられています。華やかなイメージの影で、信じがたい事案が次々と発生しているのが実態です。
この記事では、官公庁の公表データーと最も信頼性の高い口コミと体験談(=国民生活センターへの苦情)を交え、結婚相談所で多発しているトラブルとその対処法について紹介します。ぜひ最後までお読みください。
同じ結婚産業より数段多いトラブルが発生
国民生活センターには結婚相談所に関する多くの苦情が寄せられています。近年は改善傾向にありますが、年間2,500件前後で高止まり。その数、同じ結婚産業である結婚式関連サービスと比較しても数段多いのです。
このため、結婚相談所はエステや英会話と同じく、特定商取引法の中途解約可能な6業種に指定されています。以前、テレビCMをバンバン流していた英会話学校チェーンの悪辣な商法が社会問題化しましたが、同じ観点から消費者保護が図られているとうことです。
トラブルが多発する原因
この業界、個人と小規模業者が主体。具体的には約7割が個人事業主で、有限会社が約1割、上場している大手企業(IBJやツヴァイなど)はごく少数という構成です。トラブルが多発する原因は、こうした業界構造にあります。
個人でも簡単に開業できるので、一言でいうと玉石混合なんですね。コンプライアンス(=法律を守ること、公正さ)に厳しい業者が存在している一方で、いい加減な業者が野放しになりやすい土壌があるということです。ちなみに所轄官庁の経済通産省は、「個人が副業や趣味のレベルで事業をおこなっている」と評しています。
結婚相談所の5大トラブル
経済通産省の調査によると、トラブルで多いのは次のとおりーー「紹介相手の質」「紹介人数が少ない」「成婚料の支払い」「中途解約の返金」「事前の説明と違う」の5つです(以下参照)
順番に、最も信頼できる口コミ情報と体験談(=国民生活センターへの苦情)を交えて紹介しましょう。
その1.紹介相手の質に関するトラブル
希望条件を伝えているのに、結婚相談所が全然タイプではない相手を紹介してくる、というトラブルです。国民生活センターに寄せられた苦情を紹介すると…
毎月1万円の会費が必要である。こちらの希望の条件は出していたが、紹介された相手が条件にあっておらず、その旨申し出ても対応が不誠実なので中途解約したい。
よく聞く話です。例えば子供が欲しい男性ならば、30代前半までの女性を希望しているのに、アラフォー女性ばかり紹介されるとか。女性会員の場合には、年収の高い男性を希望しても、そうでない人ばかり紹介されるとか。もう一つ、苦い体験談を紹介しましょう(出典:国民生活センター)。
以前、電話で問い合わせたことのある結婚相談所から、執拗な電話勧誘を受け事務所に出向いた。「年収1千万円のエリートと絶対結婚できる」と言われたこともあり、契約した。入会金を振り込んだ後、エリートは会員の一部だけであり、情報料やお見合いを申し込む場合には別途料金が必要であるなど、事前の説明とは違うことがわかった。騙されたと思い解約を申し出たら、解約料金を請求された。(30代女性)
ほとんど詐欺ですね。ここまでいかなくても、一般常識と懸け離れた対応をされるケースもあります。例えば次は30代の女性の体験談…
オバチャンが個人でやってる結婚相談所に通ってます。でも登録すると50代以上の男性とばかり会わされて。文句を言おうものなら「あんたがそんなこと言ってられるの?」と、私の容姿や年齢をあげつらってお説教。傷つきます…(出典「週刊SPA!」2009年6月16号)
説教する前に「やるべきことやれよー」と思うのは私だけでしょうか。
その2.紹介人数に関するトラブル
国民生活センターへのトラブル事例を集約すると、次のような話に集約されますーー「高額な料金がかかるが、ほとんど会えない」。まずは実例を紹介します。
・大手新聞社に広告を載せている企業なので安心と思い入会した。約束通り月2人のデータは送ってくる。だが相手に断られたり、データが多少違っているなど成果がない(=会えない)。こんなに高額な料金(=入会金20万円)を払っているにもかかわらず、信じられない。
・成婚率が高いとの広告を見て期待して入会した。入会金20万円の他、毎月1万円と消費税が引き落とされる。毎月最高9人のプロフィールが送られ申し込んでも一向に返事がない(=会えない)。(中略)特に高い希望をしている訳でもないのに変。会員だけ集めている感じ。
これらの体験談は、結婚相談所のビジネスモデルが抱える宿痾(=宿命の病)を示しているのかもしれません。実はお見合いを申し込んで成立する確率は、利用者が事前に想定するよりはるかに低く、男性の場合で4~8パーセント程度、女性は6~11%程度しかありません(婚活会社IBJの調査結果)。
上記は平均値ですから、条件や容姿に恵まれてバンバンお見合いが成立する人もいれば、そうじゃない人(まったく会えない人)もいるわけです。後者の人が、「高い料金払っているのに…」と不満をかかえトラブルに発展するのは当然の帰結でしょう。
そもそも「結婚相手を紹介」するところなのに、会えない人を紹介する(もしくは会える確率が低い人を紹介する)こと自体に無理があるわけですから。
その3.成婚料に関するトラブル
トラブルの主な要因は、成婚の定義と支払い方法です。まず前者の成婚の定義です。「成婚」というくらいですから、普通は結婚(=入籍)と思いますが、「交際してから2ヶ月過ぎたら成婚と見なす」など業者の論理を押し付ける一方的なものがトラブルにつながります。例えば…
交際中に業者から成婚料120万円を請求された。まだ結婚していないのに何故かと尋ねると、交際2ヶ月間で自動的に交際とみなすという。入会時にそのような説明はなかった。相手を家族に紹介したかったし、業者が成婚料を半額に値引きするというので支払った。しかしその後、相手と連絡がとれなくなった(=相手の女性は、他県在住)。(40代男性)
次に支払い方法ですが、入会時に成婚料を前納させるという、信じがたいケースもあるのです。
結婚相談所で契約するときに、本来20万円の成婚料を前納するなら、半額の10万円でいいというので支払った。しかし、紹介人数が少なく、紹介されても条件とかけ離れており、成婚に至りません。そこで前納した10万円を返金してほしいと伝えたところ、すごい剣幕で「10万円は返金しない」と怒鳴られた。(出典:弁護士ドットコム)
その4.中途解約の返金に関するトラブル
結婚相談所では、思ったような成果をあげられない人が続出するし、強引な勧誘や不信感を募るようなことも多々あります。当然、解約を希望しその料金をめぐるトラブルが発生するわけです。例えば、国民生活センターに寄せられた苦情(口コミ)によると…
・結婚相手紹介サービスの会員になったが、紹介された10人以上の相手に申し込んでも誰からも返事がない。業者にやめると伝えたら「もう少し待ったら」と言われ、さらに6名の紹介があったが、やはり全員から返事がなかった。解約を申し出たところ返金額は1,600円だと言われ、解約せず契約を続けるように勧められた。お金がほとんど戻ってこないのは納得できない。(30代男性)
・結婚相手紹介所の説明会で、業者のウェブサイトに「説明会後、納得してから契約するシステム」と書かれていたにもかかわらず、当日4 時間かけて勧誘されそのまま契約した。その際、自分の経歴など個人情報に関わることも聞かれるままに答えた。その後、わたしの了解なしに作成したプロフィール票が全国の支店に配布されていたことがわかった。業者から自分の人格を否定するような発言もあり、不信感が募ったので解約したいと申し出たが、契約が締結されているので解約できないと言われた。(30代女性)
先に述べたとおり、結婚相談所は特定商取引法の中途解約可能な6業種に指定されています。だから、いつでも解約は可能です。また、解約できない旨の規約を業者がもうけていても、そうした規定は無効になります(=特商法第49条第7項)。
その5.事前の説明と違うことに関するトラブル
パンフレットやホームページの記載、そして説明会での話と実態とが違うことで発生するトラブルです。やはり国民生活センターに寄せられた信じられない体験談によると…
結婚相手紹介サービスと契約し、料金を支払った。パンフレットなどでは会員からの問合せなどに 24時間対応すると書かれているが、連絡すると個人が電話に出て「いま会社にいないので対応できない」と言われたり、パー ティーはいつも満員で参加できないなど、パンフレットに書かれたサービスが提供されず、中途解約を申し出たところ、1カ月の会費はパンフレットに書かれていた 1 万 500 円ではなく本当は契約書面に書かれてある 1 万 2,500 円なので、差額分を請求された。払わないと個人情報を返さないと言われた。
パンフレットに書かれている料金と、契約書の料金が違うって…。フツーの業界や事業会社では考えられない感覚ですね。
結婚相談所のトラブルを回避する方法
入会前の確認(書面・サービス内容と料金・解約時の規定)
入会前に、しっかりと内容を確認することは最低限やっておきましょう。以下がチェック項目の参考です。
- 法律で定めた書面が渡されているか
- サービス内容や料金
- 解約時の規定
まず、特定商取引法により、結婚相談所は契約する前と契約した後に書面を渡す義務がありますので、必ず受け取ってください。ちなみにもし渡さない場合には行政処分、場合によっては刑事罰の対象になります。渡さない業者とは契約をしないこと。もし契約しても、業者が法律で定めた書面を渡さなかった場合にはクーリング・オフできます。
次にサービス内容や料金は業者によって異なりますので、理解できるまで説明をしてもらい、サービス内容や料金が記載されている書面を受け取りましょう。
なお、途中解約する場合の解約料の算出方法もしっかりチェックするべきです。なお、解約料については法律で上限がきめられているので(特商法政令第15条、第16条)、「法外だ」と感じたら契約しないこと。契約後に疑念が生じたら、最寄りの消費生活センターに相談しましょう。
まとめ
結婚相談所は、婚活がうまくいかない時の「駆け込み寺」というイメージがありますが、事前にきちんと調べ書面で確認しないまま利用すると、とんでもないトラブルの原因になりかねません。
また、華やかな広告を見ると「料金は高いが、結婚できそうだ」と期待を抱きがち。しかし実態は先に紹介したとおり。お見合い成立の確率は極めて低調だし、経済通産省の調査によると成婚率は、女性が平均8.6%、男性が平均7.9%しかありません。過度な期待は抱かずに、サービス内容や料金をよく吟味して選択するかどうか検討する必要があるということです。
・そして気になるこちらの記事もチェック→ 結婚相談所を徹底比較|オーネット・ツヴァイの成婚率も全面公開