ひどい間違い!「35歳未婚者が、結婚できる確率3%」説

35歳以上の未婚者の結婚できる確率3%は間違い

 男女ともに35歳を過ぎると、「私、結婚できるかしら、この歳で…」「俺、大丈夫?」と不安に陥る…、という実情があります。こうした人たちがインターネットで目にする情報は絶望的なものばかり。その代表が、政府が行った国勢調査の未婚率のデーターに基づいたという「35歳の未婚者が、5年後に結婚できる確率3%」説です。

  しかし、この「確率3%説」はまったくの誤りです。計算の仕方がおかしいし(初歩的なミスといっていい)、結婚したくない人の割合も母数に含まれているし、そもそも国勢調査を経年比較すること自体がナンセンスだからです。

 データーや統計は、将来を予測し、行動の指針を立てるためのもの。「確率3%説」は明らかに35歳以上の未婚者をミスリードするひどい情報です。この記事では俗説の誤りを明らかにすると同時に、もっと信頼性の高い、元気が出るデーターを紹介します。35歳以上の未婚者は必見の記事ですぞ。

酷い間違い!「35歳未婚者が、結婚できる確率3%」説 筆者紹介

 間違いその1.計算ロジックの誤り

 「3%しか結婚できない、大変だー」と騒いでいる人たちは、国勢調査の未婚率の経年比較をおこなっています。具体的には2005年の調査時点で30代後半の未婚率は22%。5年後の2010年の40代前半の未婚率は19%。その差は3%だから、35歳を超えたら3%しか結婚できないという論法です。

 しかし、”未婚率”同士を引き算しても”結婚率”にはなりません。

酷い間違い『35歳未婚者が結婚できる確率3%」説 初歩的な計算ロジックの誤り

 「結婚できる確率」を求めるなら、未婚者の実数で比較しなくてはいけません。具体例を示しましょう。(国勢調査のデーターによると)2005年に35歳の未婚女性は、199,413人でした。それが5年後の2010年の調査では40歳の未婚女性は175,304人。だから、35歳の未婚女性は、5年間に24,109人結婚したということです。

 結婚の確率でいうと、24,109÷199,413=12.1%。3%じゃなく12%、4倍もあるじゃないか!という話です。

酷い間違い!「35歳未婚者が、結婚できる確率3%」説 正しい計算ロジック

 さらに…

間違いその2.結婚したくない人も母数に含まれている(=結婚できる確率ではない)

 この国勢調査の未婚者データーには、結婚したくない人の数も母数に含まれています。「結婚できる確率」というより、「結婚している人の割合の推移」が実態を反映した適語表現ではないでしょうか。

 「結婚できる確率」なら、結婚の意思のある人だけを母数にするべきです。ちなみに、結婚したくない人の割合(意思不明の人も含めると)は、30代の男女共に34%(明治安田福祉研究所、2014年調査結果)もいますから、先の12%という数字はさらに上振れする訳です。

酷い間違い!「35歳未婚者が、結婚できる確率3%」説 12%がさらに上ぶれ

間違いその3.国勢調査は、追跡調査ではない

 国勢調査は、追跡調査ではありません。調査時点での人口動態に関する調査です。だから、「5年後に●●がどうなった…」という比較には適していません。はっきり言ってナンセンスです。

 例を示しましょう。国勢調査の2005年のデーターによると、42歳の未婚女性は、94,782人。それが5年後の2010年の調査結果では、47歳の未婚女性は97,880人…。つまり約3,000人も未婚者が増えているのです。これは、ありえない現象です。「未婚者」というのは、一度も結婚したことのない人を指す用語。だから、未婚者が増えることなど、絶対にありえないのです。

酷い間違い!「35歳未婚者が、結婚できる確率3%」説 国勢調査を使うこと自体がナンセンス 

 国勢調査の対象は、その時点で日本に在住している人(外国籍も含む)。5年間における、海外在住の日本人の帰国や海外移民の影響なんでしょうか。私は念のため国勢調査の担当(総務省の統計局)に問い合わせましたが原因不明でした。

 いずれにしても、この調査の経年比較は意味がありません。「私、結婚できるんでしょうか?、この歳で…」と不安の渦中にいる人が、自身の今後を拡大推計するデーターとして穴だらけだと言えるでしょう。

 まとめ

 ネットで見かける「未婚率から見る、35歳未婚者が結婚できる確率は●%」(3%だけでなく、1%未満というものまである)は完全な誤りです。

 このタチの悪い俗説の出処は、私の知る限り某男性向け週刊誌のサイト。衝撃的なタイトルをつけてサイトに誘導する、通称「釣り記事」です。現在はページが削除されているので、誤りに気付いたんでしょう。しかし、この記事がバイラルメディアで拡散されたり、婚活関連の送客サイトなどがパクリ記事を書いたりして、巷ではさも通説のようにまかり通っている、という非常に残念な状況があります。

 でも、ご安心ください。俗説は完全に誤りです。そして実態はもっとモチベーションが上がるものだ、というデーターを紹介しましょう。

 下のグラフをご覧ください。35歳以上の未婚者の結婚は確実に増えているのです。ちなみにデーターの出処は、国立社会保障・人口問題研究所の2015年の調査結果。30代後半の初婚数をグラフにしたものです。

酷い間違い「35歳未婚者が5年後に結婚できる確率3%」説 婚姻件数は増加

 巷間言われているとおり、男女共に未婚者が増えています。そして晩婚傾向にある。だから、35歳を過ぎてもお相手が確実に存在しているということです。無責任な俗説に振り回されることなく、正しい戦略を立てて、勘所を押さえつつ、継続的な努力をすれば、必ず道は開けます。皆さん、がんばってください!

 

 そして、気になる結婚の確率をあげる方法は?→(参考記事)東大の研究から判明!結婚できる確率を上げる4つの原則

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